1. 水素と人との関わり2. 水素のイオン化3. 水素の可能性

3.水素の可能性

Ⅰ.ヒドロキシラジカルと反応

活性酸素とは

ヒトや動物が生きるために酸素は欠かせませんが、呼吸で得た酸素の約2%が、実は万病の元とされる「活性酸素」となります。活性酸素は持ち合わせる電子の数が不足する極めて不安定な酸素分子の状態を表わし、自らの安定のために他所から電子を奪う(酸化)特性があります。活性酸素は私たちを取り巻く様々な環境や、日常の呼吸(約2%)から生み出されます。
一重項酸素(1O2)、スーパーオキシドラジカル(O2-)、過酸化水素(H2O2)、ヒドロキシラジカル(・HO)の4種類が一般的であり、なかでも過酸化水素(H2O2/電子は18個)が金属イオン等で分解されて発生するヒドロキシラジカル(・OH/電子数は18/2の9個と極めて不安定)は人間が持ち合わせる酵素類も力が及びません。100万分の1秒という電光石火ともいえる驚異的なスピードで発生し、同時に辺りを酸化させてしまう危険性を孕んでいます。

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Ⅱ.抗酸化作用(力)

抗酸化物質としてよく知られているのは「ビタミンC」や「コエンザイムQ10」です。 トマトのカロテンや人参のリコピンなどの「カロテノイド類」、お茶の「カテキン」など、抗酸化力のある物質は日頃の食事の中にあることに気付きます。そして抗酸化物質を高濃度で効率よく摂取することも欠かせぬ要素なのかも知れません。これらの抗酸化物質と水素の分子量を一覧にしました。

物質を構成する1分子の抗酸化物質:1水素原子

抗酸化物質 主な食品 分子式 分子量の計算=分子量(単位:モル)
水素(ヒドリド) 水素ラヴィ H (1×1)=1
塩化ナトリウム 食塩 NaCl (23×1)+(35×1)=58
カテキン お茶 C15H14O6 (12×15)+(1×14)+(16×6)=290
アスコルビン酸 レモン C6H8O6 (12×6)+(1×8)+(16×6)=176
ビタミンE ほうれん草 C29H50O2 (12×29)+(1×50)+(16×2)=430
βカロチン 人参 C40H56 (12×40)+(1×56)=536
ルテイン ブルーベリー C40H56O2 (12×40)+(1×56)+(16×2)=568
コエンザイムQ10 - C59H90O4 (12×59)+(1×90)+(16×4)=862
ルチン 蕎麦 C27H30O16 (12×27)+(1×30)+(16×16)=610
オイレン酸 オリーブ C18H34O2 (12×18)+(1×34)+(16×2)=282
クルクミン ウコン C21H20O6 (12×21)+(1×20)+(16×6)=368
亜硫酸ナトリウム 肉加工品 Na18O3S (23×2)+(16×3)+(32×1)=126

この表から、一つの水素原子が1回の抗酸化を果たす際に、抗酸化物質と言われているものが物理上、どのぐらい大きな分子構造(原子の集合体)であるかをあらためて知ることが出来ます。
例えば、カテキンと比較した場合は、水素1モルに対して、カテキンは290モルなので、水素の抗酸化力はカテキンの290倍であると解釈できます。

Ⅲ.ATPエネルギー(アデノシン三リン酸)の産生

世界中のどこを探しても食事を摂らない人はいません。
とても当たり前な記述かも知れませんが、体温を一定に保つためにも、脳が機能するためにも、呼吸をするにも、心臓を含めて体のあらゆるところを動かすにはエネルギーが必要です。 エネルギーが無ければヒトやヒト以外の動物、植物、細菌類すべての生命活動は止まってしまう訳ですが、少しだけ中学生の頃に戻り、理科の授業のおさらいを致します。

例えば植物は葉緑体の中で、水(H2O)を酸素(O)と水素(H)に分解、葉の気孔から得た二酸化炭素(CO2)を炭素(C)と酸素(O)に分解します。そして、水素、酸素、炭素でグルコース(C6H12O6)やショ糖(C12H22O11)を合成して、余分な酸素(O2)を大気中に放出します。それらを葉や茎の師管を使って巡らせ、ATPに再合成して、成長エネルギーに変えています。

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反対にヒトは植物とは異なり、二酸化炭素や水や日光だけでエネルギーを生み出すことが出来ない為、植物から作られたこれらの栄養素や肉、魚などを食べて「血糖」に分解し、下記のようなイメージでエネルギー物質ATPが生み出されます。

【ATPエネルギーが出来るプロセス】

  1. 炭水化物、タンパク質、脂質が消化器官を経て、様々に分解・生成されます。
  2. 小腸から血管(血液)を通じて、最大時(25歳がピークと言われています)60兆個ある細胞に運ばれます。
  3. 細胞内のミトコンドリアで、それらをアセチルCoAに変化させます。
  4. アセチルCoAはミトコンドリア内のクエン酸サイクルに取り込まれ、それぞれの酵素分解がなされつつ、H2OやCO2で放出されて行きます。
  5. 電子は電子伝達系酵素(NAD)に受け渡され、水素と結びつき、水素イオンを放出します。その水素イオンをATP合成酵素が移動させるときに発生するエネルギーと、既に合成されているADP(アデノシン二リン酸)が結びつき、ATP(アデノシン三リン酸)が作られます。
  6. ATPがリン酸を一つでも切り離そうとするとき、膨大なエネルギーが発生することから、これを「ATPエネルギー」と定義しており、その際発生する熱エネルギーが私たちの体温でもあるわけです。

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このような仕組みを見ると、日頃の食事や正しい生活習慣がいかに大切で、健康のための選択も重要なファクターであることがわかります。

Ⅳ.血液脳関門を通過

血液脳関門とは、血液と脳細胞との間に存在する、物質交換を制限する防御機構のことを言います。身体への指示命令を統括管理する脳にとって、必要不可欠なまさに鉄壁の守りの関門です。
「ヒドロキシラジカルと反応」で触れた活性酸素、例えば呼吸で得た酸素のうち20%は脳に送り込まれます。その脳でも細胞の中のミトコンドリアは日々ATPエネルギーを産生し、結果的に2%の活性酸素が出来てしまうと仮定した場合、抗酸化物質の脳への出入りの可否が気になります。

アミノ酸やグルコースなど、神経活動のエネルギー源となる栄養素は脳内に選択的に輸送されますが、多くの物質は脳内に自由に入ることができません。分子量が100mol以下でも通過できない物質もあれば、インスリン(C257H383H65O77S6=5807mol)のような巨大な分子でも通過できる物質もあり、その詳細は実は未だよくわかってはおりません。
抗生物質でさえも、脳が毒と判断すると通過できず、また抗酸化物質でも分子量の大きなものは通過することができません。ところが分子量1mol、大きさにして1cmの1億分の一、0.1nm(ナノメートル)の物凄く小さな水素はこれらの例をよそに関門を通過。
水素の大きさを例えるならば細胞が東京ドームとした場合に、水素原子はビー玉1個分ぐらいなので、血液脳関門をあっさりスルーするものと思われます。